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Home >  在宅診療の教科書 >  生活7割を支えるために。多職種で診る在宅医療

生活7割を支えるために。多職種で診る在宅医療


在宅医療は、「医師が家に行って診察する医療」というイメージで語られがちです。
けれど実際は、医師ひとりの力で成り立つものではありません。当法人理事長・内田は、クリニックを作る段階から「それぞれが専門家でも、一人よがりでは良いものは生まれない」と考えてきたといいます。

医師は医療のスペシャリスト。看護師は看護のスペシャリスト。事務スタッフもまた、患者さんと日々接する“現場”のスペシャリストです。
職種ごとに役割は違っても、同じ訪問診療のチームとして同じ方向を向いていなければ、患者さんにとって本当に良い医療にはならない。

そこが、在宅医療の出発点です。

在宅医療は「多職種連携」で初めて成り立つ

在宅診療は院内だけで完結しません。
訪問看護、ケアマネジャー、ヘルパー、薬局、福祉用具、地域包括支援センターなど、地域のさまざまな支援とつながりから成り立っています。
つまり在宅医療は、最初から「多職種連携」を前提にした医療です。

そして連携が必要なのは外部だけではありません。クリニックの中でも、職種が違えば見える景色が違うからです。
医師が気づけないことに、看護師や事務スタッフが気づいていることがある。そこに在宅の強さがある、と内田は語ります。

「誰に話すか」で、出てくる本音が違う

患者さんやご家族が話す内容は、相手の職種によって変わることがあります。
医師には言えるけれど看護師には言わない、ということもあれば、逆に看護師にだけ話すこと、事務スタッフにだけこぼすこともあります。

診察室では言いづらい不安が、訪問の合間の会話でふと出てくる。
電話や受付対応の中で、ぽろっと本音が漏れる。
そういう“断片”が、実は支援の質を大きく左右します。

在宅医療では、その断片を拾える人が複数いること自体が強みになります。

「その人自身」を知ることが医療になる

病院では、どうしても「病気」中心のコミュニケーションになりやすく、家族構成や趣味、これまでの生活のことなど、“その人らしさ”に触れる会話は十分にしづらい場面があります。
しかし在宅医療では、そうした情報が思いがけず大切になります。

たとえば「こういう趣味があった」「家族はこういう人たち」「普段はこんな過ごし方」…。
それは雑談のように見えて、実は“生活”の情報です。人は、共感できる話題があると距離が近づきます。距離が近づくと本音が出やすくなります。本音が出ると、必要な支援が見えてきます。

内田は、医師が必ずしもこうした関係づくりを得意とするとは限らない一方で、看護師や事務スタッフが自然に患者さんとの距離を縮め、安心感をつくってくれることが多いと話します。

その“近さ”が、在宅医療の質を支える土台になっています。

情報収集の大切さ

医療法人社団貞栄会が大切にしている考え方の一つに「医療は3割、生活が7割」という言葉があります。
在宅医療では、この“7割”を支えるために、生活に関する情報を集めることが欠かせません。

そして、その情報は一人では集まりきりません。職種が違うからこそ拾える情報があり、患者さんが話しやすい相手も違う。だからこそ、各職種がそれぞれの得意分野で集めてきた情報を、チームで共有することが大切になります。

「先生、こういうことがあったよ」
その一言が、診療の視点を変えることがあります。

医師が興味を持ち、次の訪問で確認できることが増える。逆に医師の気づきが、看護や事務の関わり方につながる。
こうして情報が循環すると、患者さんを“病気”ではなく“人”として理解しやすくなります。

同じ方向を向くと、患者さんの距離も近くなる

結局のところ、チームの根っこにあるのはシンプルです。
「ひとりの患者さんをよく知りたい」「良くしてあげたい」

この目的が揃っていると、自然に「それぞれの得意分野から情報を集め、共有して、しっかり診ていく」流れができていきます。
その積み重ねが、患者さんとの距離を近づけ、ご家族の安心にもつながっていきます、

在宅医療の良さは、医療が家に来ることだけではありません。
患者さんとご家族のそばに、多職種の視点が集まり、生活7割を支えるためのチームがいること。
医療・看護・事務、そして地域の支援がつながることで、はじめて“続けられる療養”が形になります。

病気だけを診ない。暮らしを診て、その人を診て、支える。
そのために、在宅医療はチームで動いています。

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